ニンジン(人参)

 

 【セリ科 ニンジン属】

 

 

 にんじんは、根を食べる野菜の中では、珍しく緑黄色野菜で、細長い東洋系品種と、太く短い西洋系品種の2種類に大別されます。

 オレンジ色の色素はカロテンで、体内でビタミンAに変わります。緑黄色野菜の中でも、カロテン含有量はトップクラスです。

 東洋系は、江戸時代初期に中国から日本に入ってきました。色も多彩で、細長いものでした。現在唯一出回っているのは、関西の金時にんじんで、暮れには関東にも出回ります。先が細く、深い紅色をしています。これは京にんじんともよばれます。

 中国から渡来したにんじんは、日本で古くから知られていた薬用人参と根の形が似ていたので、それと区別して芹人参(せりにんじん)とよばれました。せりと同じような葉をしていたからです。それが食用として広く利用されるようになり、いつしか「芹」がとれてにんじんとなりました。

 西洋系は、日本には江戸時代後期にヨーロッパから長崎に入ったものと、ヨーロッパからアメリカを経由して、日本に入ったものとがあり、これらが現在、日本で栽培されているにんじんの主流になりました。

 にんじの種類としては、「金時にんじん」、「五寸にんじん」、「大長にんじん」、「三寸にんじん」、「島にんじん」、「ミニキャロット」などがあります。

 

金時にんじん

 唯一残っている東洋系。紅色の肉質は柔らかくて甘みがつよく、にんじん臭さが少ない。中長型で長さ30センチ前後。

 

五寸にんじん

 根の長さが15~20センチ、根の先が丸くつまっているものが多い。現在の品種は五寸型が主流


大長にんじん

 長さ60~70センチの西洋系。柔らかく甘みもつよいが、栽培に手間がかかるため、現在は正月料理用などに、わずかにみられる。

 

 三寸にんじん

 早生品種で、長さ10センチほどの円すい形。生育は早いが収量が少なく、昭和30年代中ころから減少。今はほとんどつくられていない。

 

島にんじん

 沖縄だけで栽培されている。耐暑性が強く、色は黄色で30~40センチと細長い。甘みがあり、煮もの、いためものに。

 

ミニキャロット

 長さ10センチほどで細長い。ベビーキャロットともいう。特有のにおいが少なく、甘みがあるので生食用に人気。丸いものもある。