旧中筋家住宅保存修理工事①

 

 保存修理は平成12年2月に始まり、平成22年2月までの122箇月をかけて和歌山市の事業として実施されました。

 修理は長屋蔵の半解体修理から始まりました。この建物の傷みは大きく、半解体とはいっても実際は一部の柱列と壁を残していったん解体し、基礎にコンクリートを打ち、またもとのように組み上げられました。

 北蔵は解体せずに、屋根の葺き替えと、壁の修理を行っています。この2棟は平成15年度までで修理がほぼ完了しています。

 主屋と表門は小屋組や壁を残した半解体修理で進められています。一般的には解体したほうが、より効率よく各部材の修理が出来ますが、そうすると土壁を残すことができません。壁も文化財を構成する重要な要素なので、主屋と表門はなるべく解体範囲を少なくできるよう検討しながら、修理を進められています。

 主に土台の取替や、不陸調整、屋根廻りの修理、屋根葺がされます。

 竣工後は和歌山市の管理のもとに公開されています。単なる見学だけでなく生活体験や地域づくりの場としても活用されます。

 

 写真は、平成17年12月4日に、和佐地区の住民を対象とした見学会が催されたので、その様子を撮影しましたものです。