キュウリ(胡瓜)

 

 【ウリ科 キュウリ属】

 

 

 きゅうりの原産地はインドのヒマラヤ山麓あたりです。
      3000年ほど前から栽培され、日本には中国から6世紀ころ渡来しました。
      きゅうりは、みずみずしい香りと、パリッとした歯切れのよさがいのちです。
      表面の突起とそこについている刺を、ふつう「いぼ」とよんでいますが、このいぼがチクチクするものほど新鮮です。
      多少の曲りは、生育途中の栄養状態などによるもので、鮮度や味、栄養には関係ありません。
      いぼの刺の色から、黒いぼ種と白いぼ種にわけられます。
      春きゅうりとしては華南系黒いぼ種が、夏きゅうりとしては種として華北系白いぼ種が栽培されていました。
      華北系白いぼ種は果実全体が緑色で生食用として見ばえがし、皮が薄く歯切れがよい。
      このことが消費者の評価を高め、白いぼ種が注目されるようになりました。
      近年は品種の改良と台木の育成により、白いぼ種が周年栽培されています。


     〇 白いぼきゅうり
      表面がなめらかで、刺の白い品種。生産量の9割以上を占める。緑が鮮やかで皮が薄く、どんな料理にも向く。


     〇 黒いぼきゅうり
      表面の刺が黒いもの。かつて春から初夏どりとして全国的に主流であったが、現在ではわずかに残るだけ。皮が厚く、肉質は柔らかい。


      いまでこそ、きゅうりの消費量は果菜類のなかでトップを誇っていますが、古い文献には「下品の瓜」とか「いなかに多く作る物なり」などと書かれ、長い間低い地位に甘んじてきました。
      そのうえ、きゅうりの切り口が徳川家の三つ葉葵の紋に似ていることから、武士たちはおそれ多いとして、食べなかったといわれます。