禰宜貝塚は、縄文前期~後期の貝塚を主とする遺跡です。
和歌山市禰宜字三田に所在しています。
城ケ峰(高積山)の西裾に位置し、標高10m前後で、北(紀ノ川)に向かって穏やかな傾斜地となっている。
古くからその存在が確認されていたが、昭和46年に和歌山市教育委員会により範囲確認調査が行われた。
その結果、貝層は南北方向に東西2列に検出されている。7層の堆積が認められ、3・5・6層が混土貝層、4層が純貝層で、貝層の厚さは地点により異なる。
北白川の下層Ⅱ式・下層Ⅲ式と大歳山式に併行する前期の縄文式土器、船元Ⅰ~Ⅳ式・鷹島式・里木Ⅱ式に併行する中期の縄文式土器、北白川上層式・元住吉山Ⅰ式に併行する後期の縄文式土器が出土した。
出土土器の90%を前期の土器が占めており、中・後期は少ない。
土器の胴部上半に数条の爪形文を、下部に羽状縄文を施すもの、斜縄文だけを施したもの、口縁部に1~2条の突帯を貼り付け、これに刻み目や縄文を施したものなど、前期前半代に本遺跡の中心が求められる。
石器としては、石匙・石錐・石鏃・石斧が出土し、特に有茎の水晶製石鏃は注目される。
骨角器としては、骨針・牙製ナイフが出土している。ほかに、自然遺物として、イノシシ・シカの骨やハイガイ・ヤマトシジミ・ハマグリ・マガキ・オキシジミ等がある。