宇藤家住宅は登録有形文化財建造物に登録されています。
和歌山市布施屋524番地に所在する農家で、主屋を中心に、敷地の南正面に長屋門、東に納屋を接続し、周囲に土塀を廻らせ、西面の土塀には簡易な門を開けています。
敷地の北側に土蔵や離れが建っている当地区における農家の典型的な屋敷構成で、各建物も伝統的な形式をよく残しています。
主屋は敷地中央に南面し、入母屋造、木造平屋建、瓦葺で建築面積206㎡、正面は上部壁を黒漆喰仕上げで、下部は腰板張で黄漆喰仕上げ、周囲に下屋庇をまわし、西側に落棟で座敷が接続し、変化に富んだ外観を持っています。内部は東側が土間で、西側に田の字型に部屋を配しています。座敷は12畳半の広さで床・棚・書院を備え、南と北に縁側を設けています。座敷部分が大正頃の増築です。
長屋門は敷地南辺に位置し、桁行20m、梁間3.6mの木造平屋建、長大な建物で建築面積80㎡、東には納屋が直角に接続し、ほぼ中央の間口3.7mを門口とし、両開戸と潜りを設け、東に板敷の倉庫、西に居室等を配しています。外壁は高く竪板を張り、上部を白漆喰仕上げとする重厚な屋敷構えをつくっています。
納屋は敷地東辺に位置し、長屋門と直角に接続します。南北棟の入母屋造瓦葺で、桁行20m、梁間4.0m。赤味のある結晶片岩の基礎に建ち、外壁は上部を白漆喰仕上げ、下部を竪板張としています。南から倉庫、風呂・便所、倉庫と続き、長屋門と一連で重厚な屋敷構えをつくっています。
門は、主屋西側の庭園に面し、敷地西辺の築地塀の中央に開けられた築地門です。間口1.9mの切妻造桟瓦葺。本柱の前後に4本の控柱を配し、男梁を架し、束を立て棟木を支持する。軒は一軒疎垂木。弁柄塗がわずかに残る。熊野古道から見る屋敷西辺の構えを構成しています。
平成21年1月 8日 文化財登録原簿記載
平成21年1月22日 官報告示